6月14日公開。21日一部更新。
本屋さんで、漢字が読めるような読めないようなインド人にナンパされてから、しばらくした後
今度は別の場所で、満面の笑顔を浮かべたペルー人にナンパされました。
こいつも癖が強かった…。
「あなたきれいですね。」
平日の昼下がり、所用があってオフィス街をてくてく歩いていたすずこ。
そびえ立つ高層ビルを眺めながら歩いていると、とあるビルの下にたつ2人の外国人。
目が合ったので、なんとなくにっこりしてみたら、1人が競歩のようなスピードで一直線にこちらに向かって歩いてきました。
そして、目の前にずいっと差し出された大きな手。
ニッコニコの笑顔で勢い良く言われながら握手を求められて、思わず手を差し出したのが運のツキ。
にこやかな笑顔とは似合わないほど、ぎっちり握られ、若干焦る昼下がり。
握られた手をほどけないまま、名前を聞かれました。
もちろん、本名は名乗りません。
適当に怪しまれないような偽名をとっさに名乗ります。
まぁ、別に偽名だろうと関係ありません。だって、また会うつもり全然ないし。
相変わらず、手はがっちり握手されたまま。
黒々とした巻き毛に病的なぐらい白い肌、一見ひょろりと細く見える体つきとは似合わない握力です。
ほどこうと手を僅かに引いてみるも、にこやかな笑顔と反対に、ヤツの手はびくともしません。
あ?、しまった。どうしよう。変なのに捕まった…。
「おちゃしませんか?」
どうやって逃げるか考えているすずこを他所に、楽しそうに話し続けるペルー人。
仕事は、工場で働いているとか、今日は仕事が休みだとか、かなりどうでもいいです。早く手離して。
あきらかに適当に相づちを打っているのに、お茶に誘われました。
気づけ。気づいてくれ。
もう、楽しそうな顔はしてないぞ。
これは愛想笑いだ。
握手されたままの手がある以上、あまり無下には出来ません。
なので、曖昧にお断り。
いやいや、おかしいだろう。
お茶断ってるからね。
お茶以上を望んでるワケじゃないからね。
このポジティブシンキングと粘り強さはどこから来るんだ???
「しんせんだよ。ぼく。」
握手されている手のひらが汗ばんでくる。
しかも、このペルー人、なんだか妙な匂いがする。
香水のようなすてきな香りではなく、あえて言うなら、タンスの奥に放り込まれたような独特な匂いがぷんぷんするよ。
離れたいのに、離れられない。
何故なら、握手されたままだから!!
このままだとラチがあかないので、あいてた片手も使って、半ば無理矢理ペルー人の手を剥がします。
しんせん?ってなに?
片言の日本語なのは仕方ないとしても、しんせんって、なに???
意味が分からず、眉をひそめているとさらに畳み掛けてきます。
最低だ。こいつ…
おいおい、何を言うんだ…。ヤリ目的にしても、その誘い方はないだろう!!
すずこが誘いに乗らなかったのは、ペルー人をプレイボーイだと思ったから?日本人ともうシてると思ったから?
そんな理由で誘いに乗らなかったんじゃないぞ。っていうか、日本人とシてなかったら新鮮ってどんな発想だよ!!
誰だ?コイツに日本語教えたの?いろいろ間違ってる。言葉の使い方もナンパの仕方も。
この誘い文句でドン引きしない女のコがいたら、見てみたいよ。
手は自由になったし、これ以上、愛想笑いする必要はありません。
さっさと離れて、振り返らずに一直線に離れます。
後ろでなんかまだ言ってるけど、無視。振り返っちゃダメ。
あ?、もう!!ホント、変なのに捕まっちゃった。
なんで、また!?
勘違いペルー人に阿呆なナンパをされた一週間後、別の駅前のデパート前で、またもやばったり同じペルー人に遭遇。
夕暮れ時の人通りが多い時間帯、ふと強い視線を感じて振り返ると、見覚えのある2人が、こちらを凝視している。
服装も、一週間前と全く同じ。
なんで、また!?
えぇ、もちろん、今度は握手される前に、というより、近づいてくる前に逃げ出しました。
ポジティブシンキングなペルー人だから、もし、2回も会っちゃったとなったら、今度こそ、タダで帰してくれなさそうだからね。
教訓
ノリで握手は絶対やめましょう。いや、ホントこれ重要。
すずこは身を以て実感しました。
「かわいいね。」「きれいだね。」そんな言葉に惑わされちゃいけません。
外国人のなかには、「ハロー」と同じぐらいの感覚で、気軽に女のコを褒める人たちがいます。
見知らぬナンパ外国人に褒められたら、無視しても構いません。
反応すると、しつこくつきまとうタイプもいますしね。今回のペルー人みたいに。
文: すずこ