タレントのKABA.ちゃんが、
戸籍上の正式な女性になったことで話題になった、性転換手術。
実際はどんな手術をして、どんな状態になるのかを知っていますか?
今回は、性同一性障害と、
男性が女性になるときの性別適合手術(性転換手術)についてお話します。
目次
世界で初めて手術を受けた男性
2015年に公開された『リリーのすべて』という映画をご存じですか?
この映画は、実話を元に書かれた小説が原作です。
性同一性障害の男性とその妻が主人公なのですが、
世界で初めて性別適合手術を受けた男性がモデルとなっています。
女性として目覚めてしまった夫と葛藤する妻、
そして、性同一性障害に対する偏見が強い、時代背景が印象的な映画です。
例えば、医者に精神病と判断されて危うく精神病棟に閉じ込められそうになったり、
男なのか?女なのか?と因縁をつけられて暴行されるシーンまであります。
最終的には理解してくれる産婦人科医と出逢い、手術を受けることができたのですが…。
ここからはネタバレになってしまうので、伏せておきます。ぜひ観てみてください。
性同一性障害は、一つの病気
性同一性障害を、変わった趣味を持った人や同性愛者のことだと思っていませんか?
もちろん、中には女装が好きなだけの人もいれば、同性愛者もいますが、
そういう人を性同一性障害と呼ぶのではありません。
性同一性障害は、一つの病気です。
心の病ではなく、脳の疾患
赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいるときに、
あるホルモンによって自分の性別を認識することができるようになりますが、
何らかの原因によってそのホルモン伝達がうまくいかないことがあります。
すると、身体は男の子なのに自分は女の子だと思っている、というように、
自分の性別を間違って認識した赤ちゃんが産まれてきます。
そうした、自分の性別を間違って認識した状態こそが、性同一性障害です。
見た目にはわからないので、最初に気づくのはもちろん自分ですし、
理解してくれる人もなかなか現れません。
悩んでも解決できない
もし自分が性同一性障害だったら、と想像したことはありますか?
自分は性別としては男性だけど、
いつも恋愛対象になるのは男の子で、
女の子が好きなキャラクターや色にしか興味がないことを、周りにはおかしいと言われる。
私はみんなと違うの?なんで私は女の子じゃないの?
きっとそう思いながら生活していくことになるでしょう。
思春期になる頃には身体の成長も進み、違和感は大きくなる一方です。
誰にもその苦しみを理解してもらえないうちに、
誰に相談すればよいのか分からなくなってしまうことも多いのではないでしょうか。
そんな中で、自分の身体を、
自分が感じている本当の性別に変えることができる手術を知ったなら…
きっと、受けたいと思いますよね。
性別適合手術とは
身体と脳で起こる性の不一致を解消するために行われる、性転換手術。
正式名称は性別適合手術といいます。
手術を受ける理由
同じ性同一性障害の人でも、手術を受ける人もいれば受けない人もいます。
その理由は様々あると思いますが、
その最大の違いは戸籍を変更したいかどうかではないでしょうか。
実は、戸籍の性別を変更するには、手術を受けないとクリアできない条件があります。
家庭裁判所は,性同一性障害者であって,次の1から6までの要件のいずれにも該当する者について,性別の取扱いの変更の審判をすることができます。
1.二人以上の医師により,性同一性障害であることが診断されていること
2.20歳以上であること
3.現に婚姻をしていないこと
4.現に未成年の子がいないこと
5.生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
6.他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること
参考URL:http://www.courts.go.jp/
この中の5と6を満たすためには、手術を受ける必要があるということです。
手術で女性器も作れる
手術で男性器を切除した後、残った部分を使って女性器を作ることもできます。
2.睾丸を取り、膣の形を整える
3.残してある男性器の一部を使ってクリトリスを作る
4.尿道や神経などをつなぐ
5.残してある男性器の一部を使って陰唇を作る
参考URL:http://www.yanheejapan.info/
わかりやすく漫画で説明してあるサイトもありました。
参考URL:http://gendai.ismedia.jp/
術後は、ほとんど手術したことがわからなくなるほど完成度は高いそうです。
自分の皮膚などを使って女性器を作るので、感度もあるとのこと。
妻が元男性だったことを知って裁判になったこともあるほど、自然になじむようです。
おわりに
戸籍上の性別や名前を変更することで、結婚も出来るようになります。
でも、残念ながら妊娠することはできませんし、手術後の苦痛も想像以上のようです。
さらに、何事もなく生活できる人もいれば、ずっと後遺症に苦しむ人も。
簡単に決断できないことだからこそ、成功した人に注目が集まるのでしょう。
これを機に、みなさんも一度この病気について考えてみては?