筋肉増強を目指す人たちの間でにわかに人気を集めているサプリ、HMB。
日本では比較的新しいサプリのため、初めて聞いた!という人もいるでしょう。
そんなHMBには、
- どんな栄養が入っているのか?
- そして、何故筋肉が増えるのか?
今回はHMBの基本を学びます!
目次
筋肥大の仕組みって?
そもそも、人間の筋肉ってどうやって増えていくのでしょうか?
まずは筋肉増強について、その仕組みを説明します!
筋肉は破壊と修復を繰り返して大きくなる!
筋肉を増やしたい!と思った時、みなさんがまず一番初めに取り組むこととは何でしょう?
おそらく、ほとんどの人が「筋トレ」と答えると思います。
この筋トレ、実は筋肉を破壊する行為だって知っていましたか?
筋肉は筋線維という髪の毛ほどの太さの線維が束になってできています。
この線維はトレーニングで筋肉に刺激を受けると、プツプツと切れてしまいます。
普通の細胞ですと壊れたらそのまま死んでしまうのですが、幸い筋肉は修復力に長けた細胞の集まり。
- 適切な栄養
- 休養
を与えることで、傷ついた線維はちゃんと修復されるのです。
このとき筋線維は以前よりも少し太くなって修復されるので、結果的に筋肉が少しだけ大きくなります。
これを超回復といい、繰り返すことで筋肉の体積が増加して筋肉増強につながるという仕組みです。
ちなみに、筋肉痛はダメージを受けた筋線維が炎症を起こすことで起こると言われています。
辛い筋肉痛も、筋肥大の一歩だと思うとうれしく感じるかも…?
トレーニング中のエネルギー源、BCAAとは?
筋トレ中のエネルギー源は、主に
- 血液中
- 筋肉中
に貯蓄していたグルコース(ブドウ糖)です。
しかしブドウ糖が不足すると、BCAAというものが新たなエネルギーとして使われます。
このBCAAは分岐鎖アミノ酸のことで、
- バリン
- ロイシン
- イソロイシン
の3つの必須アミノ酸の総称です。
必須アミノ酸とは、通常は体内で十分な量を作ることができないアミノ酸のこと。
ゆえに、食事などから栄養としてきちんと摂取しなければ、筋肉を増やすためのエネルギー源が不足してしまうのです!
筋肉(筋線維)を作っている材料として最も多いのは筋たんぱく質であり、
筋たんぱく質の20%はBCAAでできているといいます。
つまり、BCAAはグルコースのように体のどこかにエネルギー源として蓄えられているわけではなく、
必要になったら筋肉を分解し、そこから取り出さなければならないのです。
更に正確に言うと、エネルギー源の変換はグルコースがなくなったから次はBCAA、というように単純にはいきません。
実際には、グルコースがまだ十分ある状況でもBCAAは微量ながら使用されています。
したがって、エクササイズ前にBCAAを補給しておくと、
筋肉の分解を最小限に抑えることができるのです。
また、BCAAはエネルギー源として使われるほか、
- 筋肉の超回復に効果的であること
- 集中力を維持する効果があること
から、サプリメントとして需要を高めています。
HMBに入っている栄養素とは
話は変わって、今度はHMBについて。
HMBサプリにはどんな栄養が入っているのか?
そもそも、HMBっていったいどんな栄養素なのか?
市場にHMBサプリはいくつかあり、配合されている栄養素は種類によって多少異なります。
- 各種アミノ酸
- 血糖値を下げる効果のある成分
- 滋養のつく成分
- 精力増強成分
- 疲労回復成分
など…そのバリエーションは様々。
しかし、当たり前ですがどれもHMBが配合されていることには変わりありません!
というわけで、まずはHMBがどういったものなのかについてお話します。
そもそもHMBって?
HMBは正式には『β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸』(または『3-ヒドロキシイソ吉草酸』)と言います。
私たちが食事をすると、たんぱく質は
- ペプチドに分解
- さらに各種アミノ酸へと分解
という流れを辿ります。
そのうちのロイシンが代謝されて生まれるのがHMB。
つまり、普通に食事をしていれば、HMBは自然と体内で作られるものなのです。
そんなHMBの詳しい効能が発見されたのは1996年アメリカ。
筋肉量の増大や減少抑制効果があるとされており、ボディビル用サプリメントとしてアメリカを中心に広く海外で販売されています。
日本で販売が開始されたのは2010年で、以降徐々にその人気を高めているようですね。
今回まず注目してほしいのは、HMBがロイシンの代謝産物であるということ。
ロイシンと言えば、前述のBCCAのうちの一つですよね。
BCAAをトレーニング前に十分摂取することで、
- たんぱく質合成促進作用
- 筋たんぱく質分解抑制効果
があるのは説明済みですが、
実は、その作用の中心的な役割を果たしているのがロイシンであり、ひいてはHMBなのです!
HMBの具体的な効果
さて。
ここまでのお話をまとめてみましょう!
- 筋肉増強とは破壊と修復のサイクルの繰り返しである(超回復)
- トレーニングにはBCAAがエネルギー源として使われる
- BCAAは筋肉を分解することで得られる(=事前に十分なBCAAがああれば分解を抑制できる)
- BCAAは筋肉の主要な材料であるとともに超回復を促進し、筋力増強の効率をアップする
- BCAAの中で特に中心的な作用をしているのがロイシン
- HMBはロイシンの代謝産物
以上から、トレーニング前にHMBサプリを摂取すれば、
- 筋肉増強効果
- 筋肉の分解抑制効果
- 超回復の促進効果
が期待できるというわけなのです!
でもちょっと待って。
HMBって、そもそも
- たんぱく質さえとれば体内で自然とできるんじゃ?
- サプリでとらなくても、プロテインとか飲めばいいんじゃ?
そんな疑問が聞こえてきそうですね。
確かに、プロテインを飲めば、
良質なたんぱく質からBCAAを、そしてロイシンからHMBを得ることはできます。
しかし、プロテインを分解してできるのはBCCAだけではありません。
また、ロイシンからHMBへの変換率もわずか5%ほど…。
つまり、普通の食事やプロテインを飲むだけだと、HMBってあんまりたくさん作られないのです。
だったら、最初からサプリでHMBを摂取してしまったほうがずっと効率的ですよね!
HMBを飲めば誰でもムキムキになれるの?
しかし、だからといってHMBを飲めば立ちどころにムキムキマッチョになれるのかというと、そういうわけではありません。
HMBは筋力増強剤ではなく、あくまであなたの筋肉増強のサポートをするもの。
- 適切なトレーニング
- 栄養管理
を実施しなければ、どれだけサプリメントを飲んでも意味がないでしょう。
また、トレーニング初心者であるほど効果は大きいことがわかっており、
筋肉増強のほかにも体脂肪減少によるダイエット効果が期待できます。
しかし、残念なことにアスリートやトレーニング上級者では大きな効果は見られず、
加えてトレーニング初心者といえども、すべての人に同じような効果があるわけではないようです。
サプリメントは健康補助食品です。
過度に期待せず、こつこつとトレーニングを重ねることに注力し、
サプリについては「効果があったらいいなぁ」くらいにとどめておくほうが良いかもしれませんね。
おわりに
筋肥大のシステムとHMBがどういった成分なのか、
そしてHMBによって筋肉が増強する理由がお分かりいただけたでしょうか。
HMBサプリは
- ビルドアップ
- ダイエット
を目指すトレーニング初心者さんにおすすめのサプリメントです。
しかし、過剰摂取には要注意。
たくさん摂取したからといって、効果が倍増するわけではありません。
むしろ、場合によっては肝臓などの内臓に負担をかけてしまう場合もあります。
サプリを飲むときは所定の容量をきちんと守るようにしましょうね。