筋肥大に欠かせない栄養素といえば、
誰が何と言おうとタンパク質!ですよね。
でも、実は炭水化物も重要だって知っていましたか?
ダイエット目的でトレーニングをしている人の中には、
炭水化物の摂取を制限する『ローカーボダイエット』を実践している人もいるかもしれませんが、
それってもしかしたら逆効果かも?
今回は意外と見落としがちな炭水化物と筋肥大の関係についてお話します。
目次
炭水化物の役割
炭水化物といえば
- ご飯
- パン
- 麺類
など。
主食として私たちの食卓に自然と溶け込み、多くの人に愛される存在です。
そんな炭水化物の役割とはいったいなんなのでしょうか?
炭水化物は大事なエネルギー源!
炭水化物は
- タンパク質
- 脂肪
とともに三大栄養素と呼ばれており、
その一番大きな役割は私たちが体を動かすため、生きていくためのエネルギー源であることでしょう。
食事から摂取した炭水化物は
- 小腸などでグルコースに分解され
- 血液に乗って体中を巡り
- 最終的にグリコーゲンとして
肝臓や筋肉に電力として貯蓄されます。
そして、必要に応じて様々なエネルギーとして利用されるのです。
インスリンの分泌を促す!
食事をした後は血液中のグルコース量、いわゆる血糖値が一時的に上昇します。
すると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンには増えすぎたグルコースを筋肉や脂肪に取り込む作用があるほか、
- タンパク質合成の促進
- グリコーゲンや脂肪の合成促進・分解抑制
など様々な作用があり、これらの作用によって私たちの血糖は一定に保たれているのです。
血糖値の上昇は糖尿病を含む各種生活習慣病の原因になりますし、逆に血糖値が低すぎると十分に活動することができません。
つまり、炭水化物は血糖値を上昇させることでインスリンの分泌を促し、私たちの健康を守っているということなんですね。
男性ホルモン分泌量に関与する?
男らしさの象徴ともいえる男性ホルモン。
たくましさ、男らしさを求める男性にとっては欠かせないですよね。
もちろん、女性の体でも男性ホルモンは分泌されています。
一説には若返りの効果があるともいわれており、
健康維持や引き締まった美しいボディラインを手に入れるため、そして活動的な毎日を送るためには女性にとっても欠かせません!
男性ホルモンを増やす方法としては、
- ストレスをためないこと
- 亜鉛などを摂取すること
- 体重を減らすこと
などいくつかの方法が挙げられますが、
その中には糖質を制限する(=砂糖や炭水化物を避ける)というものもあります。
糖質を摂取した後は男性ホルモンであるテストステロンの分泌量が下がってしまうことが分かっており、
炭水化物や砂糖の摂取を制限することは、ある程度男性ホルモンの分泌量を増やすことにつながるようです。
過剰の制限はよくない
ここ数年のアメリカの研究により、
炭水化物を一切口にせず
- 脂質
- タンパク質
のみを摂取した場合、逆に男性ホルモン値が減少してしまうということが明らかになっています。
というのも、糖質制限が体に与えるストレス(負担)はかなり大きく、そのことによる影響が強いほか、
実は血中のグルコース量は男性ホルモン合成の前段階に欠かせない存在であること、
テストステロンの効果を減少させるタンパク質はインスリン量と反比例すること。
- 炭水化物を摂取する
- インスリンが増える
- テストステロン効果を減少させるタンパク質が減る
実は炭水化物こそ男性ホルモン合成のために欠かせない存在だといえるのです!
筋肥大と炭水化物の関係
前項までで、炭水化物の役割がよくわかったかと思います。
炭水化物って、私たちが生きていく上では決して欠かせないものなんですね。
そんな炭水化物が筋肥大とどう関係するのか?
その役割一つ一つから、真相を暴いてみましょう!
エネルギー不足だとトレーニング効果は得られない!
炭水化物は大事なエネルギー源。
さぁ筋肉をつけるぞ!
と勇んでトレーニングを開始すると、筋肉中に蓄えられていたグリコーゲンが消費されはじめます。
さらに、トレーニング中に消費されるのはグリコーゲンだけではありません。
筋肉の主原料ともいえるBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシンの3つのアミノ酸の総称)は、
筋肉の材料であるとともにエネルギー源にもなる存在。
よって私たちの体の中では、筋肉を鍛えるためのトレーニング中にも関わらず、
筋肉を分解してそこからBCAAを取り出すなんていうやるせないシステムも働いているのです。
せっかくトレーニングするんだったら、なるべく筋肉を分解したくないですよね。
しかし、ここで普段の炭水化物摂取不足がたたってグリコーゲンが不足してしまったらどうなってしまうでしょうか…?
エネルギー源の大本がなくなってしまうのです。
体はエネルギーを得るために、より一層筋肉を分解してBCAAを得ようとすることは想像に難くありませんよね。
結果、トレーニング量に見合った効果を得られないということになってしまいます。
トレーニングの効果をしっかり得たい場合、炭水化物をしっかりと摂取してエネルギー源を確保しておくことが大事なのです。
インスリンは筋肥大の味方?
インスリンにはタンパク質合成促進作用があるとお話したのを覚えていますか?
ちょっとその部分を深く掘り下げてみましょうか。
なんていったって、筋肉の正体はタンパク質!
- インスリン
- 筋肉増強
の間には切っても切れない縁があるのです。
筋肉増強に大きな影響を与える重要なホルモン全部で3つ。
- 成長ホルモン
- 男性ホルモン
- インスリン
これらのホルモンは筋肉細胞の核に働きかけ、筋肉合成を促進します。
中でもインスリンには血液中の栄養をしっかりと細胞内へ取り込ませる作用があり、
アミノ酸が筋肉細胞内に入るスピードをアップさせてくれます。
先ほど出てきた筋肉の材料であるBCAAもアミノ酸。
BCAAを含むアミノ酸が筋肉細胞に取り込まれるということは、より効率的に、より大きな筋肉を作ることができるというわけなんですね!
さらに、インスリンにはタンパク質の分解を防ぐ効果もあります。
インスリンがしっかり分泌されている状態であれば、筋トレ中の筋肉分解も防げるということなんです。
筋肉増強を目指すにあたっては、質の良いタンパク質などの栄養をしっかりと摂取することが大事。
でも、その時にインスリンが分泌されていないと、その栄養を筋肉に届けることができないのです。
筋肉増強にはインスリンが、ひいては炭水化物が欠かせないということです。
男性ホルモンを増やして筋肉増強!
男性ホルモンであるテストステロンの効果・作用は多岐にわたります。
- 集中力アップ
- 活動力アップ
- 精神安定
- アンチエイジング効果
などが挙げられますが、
やはり一番に挙げたいのは男らしさの形成、ずばり筋肉増強でしょう!
その基本的な仕組みは、先ほども軽く触れましたがタンパク質合成の促進。
でも、テストステロンが筋肥大に及ぼす効果はそれだけではありません。
- 筋肉増強を抑制するミオスタチンというホルモンの分泌を抑制する作用
- 脂肪を減少させる作用
などがあり、
テストステロンの分泌を増やすということは筋肉増強を効率化、合理化することにつながるのです!
男性ホルモンを増やしたいなら、炭水化物は必要不可欠。
- 過剰摂取もいけませんが
- 過剰制限もNG
しっかり炭水化物をとって、男性ホルモンを増やしましょう!
ここまでを一旦まとめましょう。
炭水化物の役割は、大きくわけて以下の3つ。
- エネルギー源
- インスリン分泌
- 男性ホルモン分泌
そして筋肉増強には、
- 十分なエネルギー
- インスリンによるタンパク質合成促進
- 男性ホルモンによる筋肉増強効果
以上の3つが欠かせない。
つまり、炭水化物が直接筋肥大を導くわけではありませんが、
炭水化物の存在が、まわりまわって筋肥大の大きな助けになるというわけなんです!
炭水化物の摂り方は?
筋肥大において、炭水化物が欠かせない存在であることがわかりましたね。
でも、
- 筋肉増強に一番必要なのはタンパク質
- 炭水化物の摂りすぎは男性ホルモン値を下げる
となると、いったいどんなバランスで摂取すればいいか、混乱しちゃいますよね。
また、ダイエット目的でトレーニングをしていて、なるべく炭水化物を制限したい人もいるでしょう。
まず最初に言いたいことは、どんなに炭水化物が筋肥大にとって重要であるといっても、
今現在、特に糖質制限などをしていないのであれば食事に炭水化物を追加する必要はないということ。
現代人の食事は、どちらかというと炭水化物過多の傾向にあります。
どちらかというと、少し制限するくらいがちょうどいいかもしれませんね。
PFCバランスとは?
その際の指標として、PFCバランスというものがあります。
これは、
- P(タンパク質)
- F(脂質)
- C(炭水化物)
の摂取カロリーのバランスを表すもので、本来は、
- タンパク質が全体の15%
- 脂質は25%
- 炭水化物が60%
を占めるのが理想と言われています。
しかし、筋トレでボディメイクを目指すならこのバランスをちょっと変えなければなりません。
ボディメイクにおける黄金バランスは、ずばり
- P(タンパク質):40%
- F(脂質):20%
- C(炭水化物):40%
注意してほしいのは、これが摂取量(g)ではなく摂取カロリー(kcal)のバランスであるということ。
- タンパク質は1gが4kcal
- 脂質は9kcal
- 炭水化物は4kcal
ですので、単純に考えてタンパク質と炭水化物は同量食べてOK。
残る脂質は、例えば炭水化物およびタンパク質をそれぞれ50g摂取したら(4kcal×50g=200kcal)、
脂質はその半分のカロリー数…つまり、100kcal摂取してよい。
100kcalにあたる脂質量はだいたい10g強(100kcal÷9kcal=11.111…)なので、
炭水化物やタンパク質の1/5程度しか摂取してはいけないのです。
50gの半分の25gではないので要注意ですよ。
また、炭水化物を制限してダイエットを兼ねたい人の場合はどうしたら良いかというと…。
このようなダイエット(=ローカーボダイエット)の場合、PFCバランスをいかに『上手に』壊すかがカギとなります。
ローカーボダイエットはアメリカ発祥で、基本は
- Cを減らして
- PとFの摂取量を増やす
というもの。
しかし、注意してほしいのは、もともと
- 肉食主体の欧米人
- 農耕民族である日本人
とでは、
生まれ持った適切なPFCバランスも異なるということ。
我々日本人があまり極端にCをカットしてしまうと、脂肪が消費される以上に筋肉の分解に拍車がかかってしまいます。
炭水化物を制限したい場合でも、一日3食のうち2食はしっかりと炭水化物を摂取するのが理想的。
- 朝昼はしっかり炭水化物をとる
- 代謝の下がる夜は炭水化物をカットする
というのがおすすめですね。
また、炭水化物摂取量が減少する分、タンパク質と脂質は質の良いものをしっかりと摂らなければなりません。
そういった意味で、ローカーボ中はプロテインを活用するのもいいでしょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。
筋肉増強といえばタンパク質と言われてきましたが、実は同等かそれ以上にも大切な存在だった炭水化物。
今までのトレーニングで思ったような効果が得られなかった人は、
もしかしたら炭水化物量が不足していたのかもしれませんね。
効率的に筋肥大したいなら、炭水化物をしっかり摂取してエネルギー源を確保し、
インスリンと男性ホルモンの分泌を促進して筋肉増強を促進しましょう!